行方不明者の生死 変死者と行旅死亡人問題
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年間の自殺者数3万人に対し、変死者数は15万人、その数字の謎に探偵が迫ります。
公表されている年間の家出者・失踪者数は年間約10万人。 警察が行える捜索権限は?
行方不明者と自殺や殺人事件の数
公式で発表されている年間の家出者・失踪者数は約10万人になります。
※現在では行方不明者の表記で統一
そのうち、ご自身の意思での帰宅を含め行方不明者が発見に至る率は約9割弱です。
ということは、残りの約1万人の方々が所在不明・生死不明のままの状態になっているということが、発表されている統計からわかります。
一万人という推定数は累計ではなく年間にです。
行方不明のままとなられている方々が全員でもなくとも、大半が生存していると仮定するならば、ホームレスを含めた住所不定の方はとんでもない人数になっているでしょう。
また、今の世の中で誰に知られることなく密かに生活をすることなど極めて難しいことは誰しもがおわかりになることです。
所在不明の行方不明者の現実は?
これらの状況から推認できることは、毎年1万人以上も発生している発見されることがない行方不明者の大半は、既にお亡くなりになられている可能性が高いことが推認されます。
年間3万人とされる自殺者の中にいるかもしれませんし、行旅死亡人を含めた年間15万ともなる変死者の中にいるかもしれませんが、亡くなられている可能性が高いというのは疑いのない事実といえます。
行旅死亡人(こうりょしぼうにん)とは?
行旅死亡人(こうりょしぼうにん)とは、日本において、本人の氏名または本籍地・住所などが判明せず、かつ遺体の引き取り手が存在しない死者を指す言葉で、行き倒れている人の身分を表す法律上の呼称でもある。
「行旅」とあるが、その定義から必ずしも旅行中の死者であるとは限らない。
弊社も探偵社という職業上、数多くの家出人探しや失踪者捜索を依頼されますが、その中には自殺を思い立ち、家を出て自殺に至るまでに発見したという案件を相当数経験しています。
行方不明者捜索で重要なのは、失踪の内容の中に生命にかかわるような状況があるなら、何を差し置いても一刻も早く探し出さねばならないということです。
警察に捜索願を出しても受け付けてはくれますが、犯罪に巻き込まれている可能性が高いとか家族に残された遺書でもない限り、積極的に探してくれようとしないのが現実です。
ただ、警察の立場や法律を知れば、引き受けられない理由は理解できると思います。
まず、成人が自分の意志で家を出た以上、居場所などの情報は個人情報である為、事件性がない以上、警察には探す権限が無いのです。
ご家族にとっては家出や失踪でも、本人としては「自由意思での自立」の可能性が高い内容では、警察の捜索活動はプライバシー侵害になってしまう可能性もあります。
捜索対象人物を探し当てたとして、当事者が「これって個人情報ではないですか?罪も犯してない私に対して国家権力を使って個人情報を流用するのは明らかにプライバシー侵害だから訴えます。」となった場合、警察は非常に苦しい立場になるでしょう。
また、年間10万人にもなる家出人や行方不明者の捜索は、今の警察の人員では物理的に担当しきれないのも理由の1つです。
単なる家出の可能性がある行方不明とは異なり、生命の危機や事件性がある特異行方不明者に該当する内容と判断されれば、捜査義務が生じる案件となります。
行方不明者発見活動に関する規則 第二条2項
この規則において「特異行方不明者」とは、行方不明者のうち、次の各号のいずれかに該当するものをいう。
- 殺人、誘拐等の犯罪により、その生命又は身体に危険が生じているおそれがある者
- 少年の福祉を害する犯罪の被害にあうおそれがある者
- 行方不明となる直前の行動その他の事情に照らして、水難、交通事故その他の生命にかかわる事故に遭遇しているおそれがある者
- 遺書があること、平素の言動その他の事情に照らして、自殺のおそれがある者
- 精神障害の状態にあること、危険物を携帯していることその他の事情に照らして、自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがある者
- 病人、高齢者、年少者その他の者であって、自救能力がないことにより、その生命又は身体に危険が生じるおそれがあるもの
犯罪に巻き込まれた可能性や自殺のおそれがない通常の行方不明者と捜索義務が生じる特異行方不明者では、取り扱いの方針が180度異なるのです。
そして現状、日本国内の民間企業で人探しを業務として行えるのは探偵だけです。(※探偵業の業務の適正化に関する法律 第二条)
自殺者と変死者の数値の謎
既に解説しましたが、日本で年間の自殺者数は約3万人であると発表されています。
多少の上下はあるものの、どの年においても3万人程度です。
それとは別に、変死者数というものも発表されており、年間に約15万であるとされています。
ここで、変死について少し説明しておきます。
変死とは
法医学上では、医学的な死因はどうであろうと、異常な状況下にある死体を変死体という。
外因死、あるいは疑わしいので死体解剖して初めて病死と判明するもの、さらには死因不明のものなどが変死に含められている。
つまり、原因不明であるが死亡しているという状態です。
遺書のない死因が特定できない自殺は変死?
では、それの何割かが自殺であるかというと、法医学上では証明できないが、自殺である可能性が極めて高いものも含まれているでしょう。
それによって、国が発表している自殺者数というものは、一般論からも、世界的にみても非常に怪しい数字といえるのです。
取り返しがつかない、かけがえのない命。
唯一無二の尊い命を自ら奪う自殺という行為に至るには、積み重なったストレスなど原因(要因)は様々あるとしても、本人としてはとてもショッキングな出来事や、きっかけとなることがあるはずで、何らかの前兆があるはずです。
ただ、その兆候は自殺後によくよく考えてみれば思い当たる節があったということにもなりかねない内容のものが多い傾向があるため、事前に察知するのは難しいかもしれません。
それでも、自殺に至るような前兆に、誰かが気が付くかつかないかは重要なポイントだと思います。
対象人物にとって非常に悪い出来事が素行調査によって判明したり、家出人を発見することによって自殺が防げたりするのであれば、探偵にとってこれ以上ない喜びでもあると同時に、探偵の存在価値はそういったことにあると考えます。
本当に自殺なのか?疑いのある事例も
国内最大手の探偵社である弊社はこれまでに膨大な数の行方調査(家出人探し・行方不明者捜索)を行ってきましたが、残念なことにその中には対象者が既に亡くなられているというケースも多く含まれています。
検死の結果では自殺と判断されたとしても、「果たして本当に自殺であったのか?」と、今でも考えさせられる内容の事案もあります。
また、自殺に追い込まれたことが疑われる他殺に近い自殺は、子供や若年層の自殺の中に多い傾向があります。
家族であったとしても、人の心が読み取りにくい生活様式になりました。
それでも、残されたご遺族や関係者の心の痛みは今も昔も変わりません。
後悔をしないためには今できることをするしかないと思うのです。
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三重県の探偵ニュース 筆者紹介

探偵 矢橋克純
探偵社ガルエージェンシー伊勢湾・三重・名古屋駅西代表
ガル探偵学校名古屋校校長
ガルエージェンシー代理店統括事業部
出演テレビ番組多数
ラジオ番組コメンテイター、各種雑誌にて連載を執筆中
地域に根を張った探偵・興信業務を行い、東海・近畿地区には独自のネットワークが確立されており、特に三重県内での調査には絶対の自信があります。